手の爪でよく起こるトラブルとしては、ドアなどで指を挟まれた後、ある程度時間が経ってから爪の付け根に黒い血溜まりができる爪下血種というのがあります。爪の下に血が溜まっても、一見他の人から見て、爪が剥がれたり取れかけたりしていないので大事に見えないことが多いです。しかし、爪に穴をあけて溜まった血を外に出さないと、じわじわと痛みが強くなってきて大人であっても耐え難い痛みとなり、救急外来を受診することがしばしばあります。子供さんが指を怪我した後で爪の付け根が黒くなっていたら、外に血が出ていなくても相当強い痛みがあると考えて整形外科受診されることをお勧めします。
足の爪では、母趾の陥入爪で爪の側縁が身に食い込んで炎症を生じ、不良な肉芽ができて難治性となっている方が多いです。実は私の家族も私が単身赴任の間に母趾の陥入爪から化膿性爪囲炎となり、長期間悩まされていた時期がありました。肉芽を治すためにステロイドの塗り薬を処方されていましたが、感染している部位には効果がなく、どんどん悪化していました。症状が改善しないので自費診療を勧められていたのですが、私が定期的に医療用器具を用いて爪を切り、普段はテーピングなどでケアをすることで炎症は落ち着きました。但し、長期間ステロイド剤を使用している間に爪白癬になっていて、今も私が爪を切り、ひどくならないか注意してみているところです。
一般的に、年齢や季節によって差はありますが、爪が伸びる速さは手で1か月に3㎜程度、足で1か月に1.5㎜程度といわれています。足趾の爪が上手く切れないで炎症が起きるなど困っておられる方は、爪が3-4㎜伸びる2-3か月に一度、クリニックで爪切りをするのも良いかと思います。
当院では、怪我で損傷した爪の処置だけでなく、陥入爪、爪甲鉤弯症など爪切りが困難な方のネイルケアやその原因となる足部変形の治療もしています。また、爪白癬(いわゆる爪水虫)に対し、確定診断のための検査や塗り薬、内服薬での治療も行っています。