ハイドロリリース(hydrorelease)とはhydro(液体)でrelease(剥離・緩める)するという意味を持ちます。超音波検査の機械を用いて行われるエコーガイド下ハイドロリリースという言葉は2017年から使われるようになった新しい言葉です。
これまでは、筋膜性疼痛症候群と診断されるための条件を満たす部位のことをトリガーポイントと呼び、この部位をターゲットに治療を行う方法としてトリガーポイント注射や徒手的な筋膜リリースと言った治療が行われてきました。
超音波検査機を用いて皮下の組織を観察すると、このトリガーポイントにあたる部位の筋膜では超音波画像が重積して映ります。超音波(エコー)をガイドにしてここに注射針の先端を進め、生理食塩水や薬液を注入すると、画像では筋膜の重積がバラバラバラと広がる様子が映るので、筋膜その他の軟部組織の柔軟性 (伸張性・滑走性)が改善することが期待されるのです。
エコーガイドで注射をする利点は、レントゲン透視しながらでも造影剤を使用しないと見えないような神経血管や筋組織をリアルタイムで観察することができるということです。これにより安全に正確な部位に注射をすることができます。同じようにして、神経痛に対して神経ブロックを施行したり、骨折や脱臼の徒手整復の際にも有効に麻酔を効かせたりすることができます。
当院ではエコー画像を診ることで、レントゲンで映らない身体の情報を得るとともに、安全かつ早期で正確な診断、治療を進めてゆくことを心がけております。