膝の痛みでお困りの方へ
膝の痛みで整形外科に行ったら、「変形性膝関節症という関節軟骨が無くなる老化です、老化なので治りません、膝周囲の筋肉をリハビリで鍛えましょう」と言われてガックリしたという経験のある人は多いと思います。
医師は診察や検査を通して変形性膝関節症と診断をつけるのですが、ただ、なぜ軟骨が無くなると痛いのか、膝周囲の筋肉を鍛えるとそれがなぜ軽減するのかを説明せずにいきなりリハビリ治療を提示するのはいささか不親切すぎます。
正直、専門の整形外科医や理学療法士でも、関節軟骨の消失から膝の痛みの出現まで系統立てて説明できる人は少ないのです。
それは痛みの本質が軟骨ではなく、関節そのものの機能低下にあるからです。
つまり、どの部位が、どのように動かされることによって、痛みが誘発され、なぜそうなってしまったのかを理解して初めて、治療目標を設定し、リハビリを開始することができるのです。
その説明がないままリハビリをしても、治療している医療側も治療されている患者側も何のために鍛えてどう良くなるのか判断できないまま時間が過ぎていく、ということになります。
これは医師に勧められて受けられた人工膝関節置換術という手術のリハビリでも同様のことが言えます。
変形した関節を骨ごと削って人工関節に置換するという大手術をしても、疼痛や可動域制限が残存し、満足のいく結果が得られない人も相当数おられます。
関節軟骨がないから直接の骨の刺激で痛むことが本当に痛みの原因であれば、それを切除して人工物に置換するということは、虫歯に対する銀歯の治療と同じで、人工膝関節置換術の成績は必ず満足のいくものになるはずです。
そうならないのは、手術では変形した骨と軟骨だけしか人工物に置換しておらず、レントゲンでは正常な関節に戻ったように見えるものの、他の関節を構成している靭帯や筋肉、神経などの拘縮や萎縮、反射や協調運動の低下など、非生理的な関節挙動が残存し、リハビリでもその関節挙動が矯正できないまま残っているためです。
関節の3種類の動き
関節の動きには、転がり(rolling)、すべり(sliding)、回転(spinning)の3種類があり、この動きを動的に制御しているのが筋肉、特にローカル筋、いわゆるインナーマッスルです。静的に制御するのが、骨軟骨の形状と靭帯です。
各関節にはそれぞれ特有の動きがあり、この3種類の動きの組み合わせの割合が異なります。それはつまり、動的な制御と静的な制御の割合も異なることを意味します。
これらのいずれかもしくは複数に障害が起きた時に、正常な3種類の動きができなくなり、非生理的な関節挙動が生じて関節内外の組織に存在する疼痛知覚神経を刺激する過剰な力(伸張力、圧縮力、剪断力の3種類)が働き痛みが生じます。
関節のリハビリ
どのような動きでどの部位が痛み、なぜそのような力が生じているのか、動的な制御または静的な制御のいずれの破綻が原因なのか、これらを診断できて初めて、是正または補強すべき筋肉や組織が理解でき、理学療法士の力で残存する組織の力を最大限に引き出し、正常な関節に近い動きを生み出すことができ、効果的なリハビリに繋がります。
例えば膝であれば、骨同士の静的な安定性がほとんどなく靭帯に依存した関節で、筋肉と強調してスクリュームーブメントという、膝が曲がるに連れて大腿骨と脛骨がスクリューのように捻れるように動きます。肩は、体の中で一番大きい可動域を有する関節で、骨軟骨及び靭帯の制動が少なく、主に動的に制御する腱板というインナーマッスルがそれを可能としています。股関節は逆に転がりと滑りが少なく回転が主な動きとなり、骨軟骨の静的な制動が大きい関節です。
このように、各関節特有の動き方と痛め易い原因が異なるため、鍛えるべき筋肉、補正すべき靭帯など関節を構成する様々な組織を熟知しておく必要があります。
そしてそれらの知識を患者さんと共有することでリハビリの効果を高めていくことができるのです。
当院の運動器リハビリテーションの特徴
当院の理学療法士は、知識だけでなく、それを患者さんに分かりやすく伝えることが、確実に効果が出るリハビリを提供することになると考えています。
そして、より早い社会復帰がその方の人生の満足度を高めることになると考え日々努力しています。
是非一度、当院の運動器リハビリを頼っていただきたいと存じます。
リハビリテーションのメニューのご案内
理学療法士による運動器リハビリテーションの提供
マンツーマンでの指導の下、関節の可動域を広げて、自分で筋肉を動かして、神経との協調を促し、本来の運動機能に近づけることによって治すという、本来の根本的な治療としてのリハビリを提供します。 スポーツ障害に対しては、原因となった各スポーツに特徴的な運動連鎖の破綻を正常な動きに是正し、特に成長期においては慢性的な障害にならないよう時間をかけて筋肉の萎縮や関節の拘縮を治療し再発を予防することが大切です。
運動器リハビリの時間は、各症例の20分~40分で行います。医師の診察を経て、医師からのリハビリ処方が出てから、リハビリ室での治療が開始になります。理学療法士による機能評価後に目標を策定、計画書を作成し、その目標に向かって一緒にトレーニングを開始します。
コンディショニングトレーナー(柔道整復師)による心身両面のボディケア
コンディショニングトレーナーは、ケガや慢性疾患だけでなく、スポーツや仕事の疲労や筋緊張の蓄積、身体全体に違和感や疲労感を持つ人に対し、コンディショニングを整え心身両面のボディケアを行います。
ストレッチやマッサージだけでなく、日常生活動作での姿勢や体の使い方をチェックし、アドバイスすることで、筋緊張をほぐし、血流を促し、自律神経を整えます。
自律神経について
肩こりや腰痛、冷えやむくみ、不眠といった不快な身体症状に悩まされている人の原因の一つに自律神経の疲労があげられます。
脳や筋肉、胃腸などの内臓など、体の全ての細胞に酸素と栄養を届ける血管を24時間コントロールしているのが自律神経です。自律神経が乱れると血流が悪くなりますし、逆に血流が悪くなると自律神経の負担が増え、自律神経のバランスが崩れます。
強い精神的なストレスだけでなく、年齢による筋力低下や在宅でのリモートワークが増えたことで運動不足になることで、血の巡りが悪くなり知らないうちに自律神経の失調が起きていることが予想されます。
その逆もしかりで、運動や仕事のしすぎで筋肉に過負荷を与え、筋肉に乳酸という疲労物質が蓄積し、これが筋緊張の原因となります。
同様に筋肉やその周辺組織の酸素や栄養不足から局所の筋肉や関節における神経筋協調運動が低下し、ケガやその再発が繰り返し起こる原因となります。
当院のコンディショニングトレーナーは、みなしPTという健康保険上での認定資格を有しており、患者さんの心身両面において丁寧なボディケアを行っています。
通院での自主練習にトレーニング機器の利用を提供
当院では必ず運動器リハビリの時間内に自宅でできる自主練習(宿題)の指導、提供を行っていますが、ご自身でのトレーニングでは満足できない方や自身のない方は、必要に応じて通院しながら、トレーナーの指導の下、自主トレメニューを当院にて行います。
自分で筋肉を動かすことで、筋肉の伸張と収縮が行われ神経と筋肉の協調運動が生まれ、運動器リハビリの治療成績が向上します。
自主練習を行うことでさらにその効果を実感できることと思います。
当院には、初動負荷理論を取り入れた、動的(ダイナミック)ストレッチマシンを導入しており、昔ながらのストレッチではなく、自分で筋肉を動かしながらストレッチを行うよう指導しています。
またこのマシンを用いることで、安全に遠心性収縮を利用した筋力トレーニングを安全にかつ効率的に行うことができるため、トレーナーの指導の下で利用を許可しています。
さらに当院で導入しているプロテックという自重式腰椎下垂牽引器は、腰椎以下の自重を用いた牽引器ですが、宙吊りの状態で下肢を動かすことで体幹から大腿にかけて筋肉の動的ストレッチも可能にしたマシンです。
プロ野球選手などが利用する非常に有用なマシンであり、是非利用して頂ければと存じます。ただし、緊張が強い時や疲労が主の時には物理療法も選択して頂けます。
干渉波治療器は、緊張の強い部位に微弱電流を流し、筋肉を電気的に収縮させ血流を促す機器です。また希望時には、追加でトレーナーによるストレッチやマッサージも併用(運動器リハビリになります)することも可能です。
自主トレというとハードルが高く頑張らないといけないというイメージを持たれる方も多いと思われますが、毎日の運動を低負荷でも続けていくことで、筋肉の維持と向上に役立ちます。
是非、自主練習の継続に通院リハビリをご利用ください。