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人工関節置換術後リハビリ外来

人工関節置換術後リハビリ外来

健康で自立した生活を続けるために

現在の日本における高齢化社会において、どの時点まで健康で自立した生活を続けられるかがその人の人生の分岐点となり、その質を決めます。

中でも自立歩行が人生の終焉まで可能であれば、より良い生活と満足が得られる人生になると思われます。

膝痛について

人工関節置換術後リハビリ外来

特に膝という関節は、その特殊な構造と使用頻度の高さから、中高年以降の年代の方には痛みを有する割合が増えていき、50歳以上ではその半数が何らかの膝痛を経験しているという報告もあります。

その原因の一つは、多くの方が知っているような関節軟骨の摩耗や変性による関節への負担増によるものです。
ただし、これだけで膝痛の全てを説明することはできません。膝を支持し構成しているあらゆる組織、特に筋肉や靭帯によるところが原因としては実は最も重要だと言えます。

年齢が上がるにつれ組織の弾力性の低下など自然劣化的なものと運動不足による筋肉の伸張と収縮の筋力低下とそれに伴う血行不良による組織の劣化が生じます。
組織の柔軟性の低下は、疼痛を知覚する痛覚神経を容易に刺激し(痛覚神経の閾値低下と言います)、痛みが誘発されやすくなるのです。

人工膝関節全置換術(TKA)について

人工膝関節全置換術(以下、TKA)の目的は、主に除痛です。

膝の変形が進行し、日常生活において動作の度に膝痛が生じ、QOLの低下が避けられない場合に選択されるべきものです。
膝の荷重に対する耐久力が得られ、下肢の支持性が向上し、歩行能力の再獲得が期待できますが、可動域に関しては屈曲90~120°が平均的であり、椅子やテーブルを中心とした生活様式が推奨されます。

しかし、TKA術後、手術したにもかかわらず、疼痛が持続し、可動域の改善が見られないといった方も相当数見受けられるのが現状です。

膝痛が残存しているのですが、手術した病院でレントゲン検査をしても主治医には画像上は問題ないと言われ、モヤモヤされている方は多いのではないでしょうか。
その原因は、骨軟骨は人工物に置換したとしても、上でも述べたように軟部組織の異常や筋力低下、痛覚神経の閾値低下は治っていないため、特に手術前の状態、特に痛みの程度や軟部組織の病変が強かった方は、TKA術後もその状態が持続していることが原因とされています。

さらに手術においては、大腿四頭筋という大腿から膝前面にある最も膝の中で重要な筋肉を割いて手術を行うためその筋力低下と硬直は必発です。
また、前十字靭帯(以下、ACL)という脛骨が大腿骨に対し前方にずれることを防いでいる、膝の中で最も支持性の高い靭帯を切離するため、膝関節の不安定性は増大しており、大腿四頭筋の筋力低下と相まって立位歩行によるその動揺性が、先に述べた軟部組織におけるストレスを高め、知覚神経の閾値低下もあることから、疼痛の易誘発が持続してしまっていると考えられます。そのため、最近の手術として、人工膝関節単顆置換術(以下、UKA)が開発され、膝の内側だけを人工物に置換することで大腿四頭筋の切離を最小限に抑え、かつACLを温存することで、術後に生じる疼痛の軽減を期待した手術法も広まりつつあります。

人工関節置換術後リハビリ

このように人工膝関節置換術だけでなく、人工股関節置換術(THA)や腰部脊柱管狭窄症や腰椎すべり症に対する脊椎の手術、その他のあらゆる外傷や変性疾患に対する手術において術後疼痛の持続を認める方に大切なのはリハビリによる正常な関節運動の再獲得です。

術前から存在する疼痛や炎症とそれに伴う周囲関節構成組織の機能低下に加えて、さらに手術における侵襲が加わることで、組織の本来の機能はさらに低下し、レントゲン上は上手くいってるとは言われても、正常な関節運動は修復されておらず回復しているとは言えません。

根本的な原因となった部位は手術してもらったのに大変もったいないと思います。
術前の根本の悪いところは治っているため、術後のリハビリは、もちろんある程度考慮はしながらですが、思い切ったリハビリが可能です。

ただ術後のリハビリは、大きな病院では通院でのリハビリを行わないため、自宅でのトレーニングを指示されるのですが、どこまで頑張ればいいのか、また怖くて動かせない方も多々おられます。

当院では、そういった方々のために、術前術後の臨床経過を踏まえ、リハビリを提供しています。お困りの方は、ぜひ一度当院にご相談に来ていただきたいと存じます。

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