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どれくらい歩くのがよいか

〽走り続けていなけりゃ 倒れちまう 自転車みたいな この命転がして 息はきれぎれ それでも走れ…「中島みゆき:断崖 -親愛なる者へ- より」  私が大好きな中島みゆきの歌詞の一部です。生きることを自転車をこいで走ることに例えています。ここで自転車をこいで走るというのは、歩くことに置き換えることもできると思います。  今日歩いて明日も歩く、そうして歩き続けることが健康につながります。歩くことをやめてしまってはすぐに衰えてしまうのが人間なのです。  外来で「どのような運動をすればよいですか?」と問われた時に、私は「とりあえず歩きましょう。階段や坂道ではなく平地だけでも良いので歩くようにして下さい。」と答えます。そうすると、「1日に何歩くらい歩くのが良いですか?」と問い返されます。  厚生労働省は「健康づくりのための運動基準2006~身体活動・運動・体力~報告書」で健康づくりのためには毎日8,000~10,000歩の歩行が目安であるとしています。  1日10,000歩という目安は、歩数計の名称として数十年前にいわれるようになったことが始まりともいわれています...
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足底挿板(インソール)について

 二足歩行の人間の足ではたくさんの骨が集まって、レンガが組み合わさるように縦方向横方向にアーチ構造となっています。アーチ構造は上方から押される力に強いので、立位保持や歩行時の荷重負荷に耐えられるようになっているのです。  怪我や加齢によって足のアーチ構造に歪みが生ずると、体重の負荷で痛みが出るようになり、立位保持や歩行に支障をきたします。また、特に原因がなくても個人の体の特質として扁平足があったり、遺伝的な体質で若くても外反母趾になる方のように横アーチ構造がくずれたり(開張足と言います)することもあります。  縦方向、横方向のアーチ構造が歪んだり変形したりした時には足底挿板(インソール)を靴底に入れることで荷重負荷がバランスよく分散されて痛みが和らぎ、変形の進行を防ぐことができます。外反母趾や扁平足に足底挿板(インソール)が使われることは有名ですが、足底腱膜炎や、足の甲が高くなる凹足(ハイアーチ)にも足底挿板(インソール)が使われます。また、変形性膝関節症によるO脚変形のように、下肢の関節不安定性に対しても足底挿板(インソール)は非常に有効です。  小児のO脚やX脚...
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交通事故の診療

交通事故で最もよく診るのは、いわゆる「むちうち損傷」です。停止中の乗用車に乗車中、いきなり後方や側方から他車に追突されて受傷します。被害者はパニックになったり、アドレナリンの影響もあったりして最初は怪我をしたという自覚がなかったり、大したことはない、大丈夫だと判断してしまうことがよくあります。  しかし、時間を置いてから痛みに気づくことが非常に多いので、自分では異常がないと思っていても必ず医療機関を受診することが大事です。その場合、最初にかかるのは幅広く外傷に精通している整形外科が最適です。  また、受傷直後は首が痛い程度で「むちうち損傷」だろうと思っていても、バレー・リュー症候群では3ー4日して時間が経ってから倦怠感、疲労感、熱感、不眠、脱力感、めまい、耳鳴り、難聴、眼精疲労、流涙、視力調節傷害、しびれ、肩こり、腰背部痛、頭痛、頭重感、動機、息切れ、四肢冷感、食欲不振、胃重感、腹痛、下痢、便秘などの症状が出てきます。バレー・リュー症候群は様々な検査をしても特に異常は出ません。近年、交通事故やスポーツ外傷等の後に、脳脊髄液が漏れ出し減少することによって、起立性頭痛などの頭...
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肩の疾患とリハビリテーション

 肩関節痛を訴えてこられる中年以降外来患者さんの中で最も多いのはいわゆる40肩や50肩で、正式病名は肩関節周囲炎と言います。私自身も40代になって、ついに右肩を痛めてしまいました。後ろポケットに手を入れる時など肩関節をひねった時にズキンと痛みが走ったり、寝返りで右肩を下にすると強い痛みで寝られなかったりしましたし、ひどい時には他人から肩をトントンと叩かれただけなのに、飛び上がってしまう位に強い痛みを感じることもありました。私が整形外科研修医として就職したばかりの時に、大学教授ご自身が「私も50肩が痛くて…」とおっしゃっていたことを思い出して、あの頃の私は若かったなあ思うと同時に、ごくありふれた疾患であることを知らされました。  江戸時代から「五十腕とも五十肩というものは時間がたてば薬なしでも治るものである。」と文章にあるように、放置していても治ると思われがちですが、関節を包む袋(関節包)が縮み、癒着して関節が拘縮をおこし、肩の動きが著しく制限されてしまうこともあります。これを凍結肩(フローズン・ショルダー)といいます。40肩、50肩だろうから、安静で様子を見ようと考えるのではな...
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走る時の悩み

私が初めて地元のマラソン大会に出場したのは20年以上前で、5㎞走るのに35分を超えただけでなく、翌日からの両下肢の筋肉痛に大いに悩まされ、階段の昇り降りもままならない状態となり、大変悔しい思い出となっていました。 それから約10年経って健康管理に目を向けるようになり、ダイエットをした時に動きたい、走りたいという気持ちが出てきたので、再度地元のマラソン大会に5㎞から参加するようになりました。日々の練習の成果もあり、走り終えてから辛い思いをすることもなくなって、ゴールする時の喜びも病みつきになってしまいました。人それぞれタイムが違っても、ゴールするときには笑顔になります。走れるということは有難いことであり、楽しいことなのです。 走る距離も5㎞から10㎞、ハーフマラソン、フルマラソンと長くなりました。しかし、私は幼少期から扁平足なので、フルマラソンでは30㎞を過ぎてから疲労が蓄積すると両足が痛くなって途中で歩いては走り、歩いては走って何とかゴールしていました。ゴールまで走り続けるという本当の意味での「完走」がフルマラソンではなかなかできませんでした。 試行錯誤を重ねながら...
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爪について

手の爪でよく起こるトラブルとしては、ドアなどで指を挟まれた後、ある程度時間が経ってから爪の付け根に黒い血溜まりができる爪下血種というのがあります。爪の下に血が溜まっても、一見他の人から見て、爪が剥がれたり取れかけたりしていないので大事に見えないことが多いです。しかし、爪に穴をあけて溜まった血を外に出さないと、じわじわと痛みが強くなってきて大人であっても耐え難い痛みとなり、救急外来を受診することがしばしばあります。子供さんが指を怪我した後で爪の付け根が黒くなっていたら、外に血が出ていなくても相当強い痛みがあると考えて整形外科受診されることをお勧めします。  足の爪では、母趾の陥入爪で爪の側縁が身に食い込んで炎症を生じ、不良な肉芽ができて難治性となっている方が多いです。実は私の家族も私が単身赴任の間に母趾の陥入爪から化膿性爪囲炎となり、長期間悩まされていた時期がありました。肉芽を治すためにステロイドの塗り薬を処方されていましたが、感染している部位には効果がなく、どんどん悪化していました。症状が改善しないので自費診療を勧められていたのですが、私が定期的に医療用器具を用いて爪を切り、普...
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開業1年を迎えて

上野東整形外科・運動リハビリテーションクリニック開業から1年が経ちました。開業初日、いよいよスタートという午前9時目前の静寂、不安の中、私は診察室の机にひじつき手を組んで目を閉じ、「どうか多くの方々に受診して頂き、このクリニックが社会に貢献できますように。」と祈りを捧げていました。目を開けて立ち上がった時に笑顔の理事長と目が合い、一気にアドレナリンが放出されて「よし、さあ行こう。」と一歩目を踏み出したのです。 最初は「近くに整形外科ができた。」「たまたま通りかかって看板を目にした。」という方々が予想以上に多く来院され、近隣の人々が通い易い所に整形外科クリニックを構えることができたこと、それだけでも大変有難いことと思っていました。しかし、私達が医療機関として機能して行くためには、利用される方々との信頼関係が築き上げられることが重要であるとも考えていました。 開院後半年経過した時点では、来院される人数も増えましたが、患者様をたくさん待たせしてしまうことがとても多く大変ご迷惑をおかけしてしまっていたので、丁寧な診察を維持しながら効率を上げるために多くの方々から助言やご協力を賜り...
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ハイドロリリースについて

ハイドロリリース(hydrorelease)とはhydro(液体)でrelease(剥離・緩める)するという意味を持ちます。超音波検査の機械を用いて行われるエコーガイド下ハイドロリリースという言葉は2017年から使われるようになった新しい言葉です。 これまでは、筋膜性疼痛症候群と診断されるための条件を満たす部位のことをトリガーポイントと呼び、この部位をターゲットに治療を行う方法としてトリガーポイント注射や徒手的な筋膜リリースと言った治療が行われてきました。 超音波検査機を用いて皮下の組織を観察すると、このトリガーポイントにあたる部位の筋膜では超音波画像が重積して映ります。超音波(エコー)をガイドにしてここに注射針の先端を進め、生理食塩水や薬液を注入すると、画像では筋膜の重積がバラバラバラと広がる様子が映るので、筋膜その他の軟部組織の柔軟性 (伸張性・滑走性)が改善することが期待されるのです。 エコーガイドで注射をする利点は、レントゲン透視しながらでも造影剤を使用しないと見えないような神経血管や筋組織をリアルタイムで観察することができるということです。これにより安全に正確な部位に注射を...
ドクター

「骨粗鬆症」について

上野東整形外科・運動リハビリクリニック院長の山根です。皆様、今年はどのような年にしたいと思っていらっしゃるでしょうか?私は自身の健康管理をしっかりして、病気やけが、痛みのある方々を少しでも多く治療し、良くなって頂けるように頑張りたいと思います。 さて、皆様は骨密度を測定されたことはおありでしょうか?一度もない方、何年か前に測定して、年相応もしくは同年齢の平均より良かったので、その後は検査していないという方が多いのではないかと思います。実はそういう私も去年、人生で初めて骨密度を測定しました。心の中では、まだまだ自分の骨は丈夫だろうと過信していたのです。 骨粗鬆症の治療は、ビスホスフォネート(BP)製剤であるダイドロネル(エチドロン酸二ナトリウム)が1996年7月に骨粗鬆症の効能が追加承認された時に歴史的転換期を迎えました。当時研修医であった私にはこの薬の治療効果を知るわけもなかったのですが、月日の経過とともに、BP製剤がそれまでの薬と比べてけた違いに効果的に骨密度を改善させることがわかり、大いに驚かされました。骨密度測定の結果説明で前回検査より良くなっていると、患者さんに「...
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